先日、職場の同僚から
「トランペット吹いてみたいから教えて」と唐突に言われました。
同僚は32歳。ギターは弾けるものの、管楽器の経験はゼロ。
果たして、同僚はトランペットを吹けるようになるのでしょうか。
また、管楽器の経験のない全くの初心者は、どのようにしてトランペットを練習したらよいのでしょうか。
トランペット歴20数年(ブランク5年)ほどの私ですが、今一度初心に返り、自分がゼロからトランペットを学ぶつもりで記事にしてみました!!
今回は初級編として
- トランペットについて
- トランペットの音が鳴る仕組み
- トランペットを始めるにあたって考えるべきこと
これらについて解説します。
本記事は、まだ楽器を持つ前の「トランペットってどうなの?」といった部分からアプローチしていきたいと思います。トランペットに関する基礎知識、練習するまでに必要なものなどについてまとめました。これからトランペットを始めてみたい方は、この記事から読んでみてください。
「もうトランペットが手元にあるよ」「春から部活でトランペットを始めたい!」という方は、トランペットを吹く前の準備からお手入れ方法までを記事にしていますので、ぜひこちらもご覧ください。
「トランペット」、どんな楽器?
トランペットの音、役割について
トランペットの音色、誰もが耳にしたことがあるかと思います。オーケストラを始めとして、ジャズやビッグバンド、現代のポップスまで幅広く使用されます。
トランペットの歴史や成り立ちについては今回は割愛します。
トランペットを含む金管楽器(他にはトロンボーンやホルン、ユーフォニウムなど)の中では主に高音域を担当します。
また、主に主旋律(メロディーライン)や目立つパートが多いのも特徴です。
音色は、オーソドックスなトランペットですと明るく華やかな音色。トランペットの形状や演奏する人のスタイルによって変わりますが、一般的にはメリハリとエッジの効いた音色が特徴です。
トランペットの仕組みはどうなってるの?
トランペットは、簡単に言うと1本の金属の管の片方にマウスピースを取り付け息を吹き込み、ベルと呼ばれるもう片方の部分(ラッパと呼ばれる形状ですね)から音を出します。
ただ息を吹き込むだけで音が鳴るわけではなく、実際には
唇の振動を「マウスピース」と呼ばれるパーツを介して、トランペット本体で共鳴、増幅させて
音を出しています。マウスピースについては後述します。
またトランペットには、画像の通り「バルブ」が3本あります。そのバルブの組み合わせによって管の長さが変わり、音を変えることができます。
さらに、先ほど「唇の振動」というワードが出ました。
振動は「大きく遅いほど低く」、「小さく速いほど高い」音が出ます。つまり
唇の振動によって、同じ管の長さでも「倍音」と呼ばれる高さの違う音が出せます。
唇の振動を変えることによって得られる音高の変化と、バルブの組み合わせによって変わる管の長さ、これら2つの要素でトランペットは様々な音が出せます。
その他のパーツについては、実際に音を出す段階になってから説明します。
「マウスピース」って?
トランペットの「マウスピース」とは
マウスピースは、トランペットを演奏するにあたって、実際に口に当てる部分のパーツを指します。
このマウスピースに唇を当て、振動させると、「ブー」というなんとも情けない音が鳴ります。さらに、先ほど言ったように振動を速くすると「ピー」というこれまた可愛らしい音が鳴ります。これをトランペットに取り付けることで、振動が増幅し、音が鳴るわけです。
上手な人になると、マウスピースだけで一曲吹くこともできたりします。
素材は主に真ちゅうに銀メッキ。見た目も素材も様々ありますが、実は見えない部分にも違いがあり、同じメーカーでも実に多くのモデルが取り扱われています。
マウスピースの種類によって何が変わるの?
マウスピースは、実に様々な種類があります。唇にあたる部分を「リム」と呼びますが、その厚さや、画像の「カップ」の深さや大きさ、その他の組み合わせにより、吹いた感じや音色がガラッと変わります。
また、人はそれぞれ歯並びも唇の形も違いますよね?自分に合ったマウスピースを見つけることができれば、トランペットを吹く難易度はぐっと下がると言えます。
メーカーの中でも、オーソドックスな日本人向けのモデルも展開されており、初めての方はそちらから試してみるのもいいかもしれません。
入門用として推奨されるオーソドックスなモデル
- YAMAHA 11C4、14B4
- Vincent Bach 7C
一般的に、カップが深ければ柔らかく、浅ければ明るくて鋭い音になります。自分の好みの音色や、演奏する曲のジャンルによって使い分けます。私は、クラシックの場合はVincentBachの1Cという大きいモデル、ポップスやビッグバンドの時はVincentBachの浅いモデル3D、普段使いとして吹きやすいYAMAHAの18B4NC(中川モデル)というマウスピースを使用しています。
初めての方は、吹きやすい1本で間違いないと思います。
トランペットの値段は?価格帯による違いは?
トランペットは「高額」というイメージがあります。さらに、楽器ですので「安かろうは悪かろう」というイメージもあるかと思います。
トランペットの一般的な価格と、安いもの、高いものについての違いを解説します。
本記事では代表的なメーカー、「YAMAHA」と「VincentBach」について取り上げます。(他にも有名メーカーはありますが今回はこの2メーカーにします)
YAMAHA(ヤマハ)のトランペット
まずは、日本人ならずとも知っている世界の「YAMAHA」。高校生くらいまでの吹奏楽部でトランペットをやっている人は、80%以上はYAMAHAのトランペットを使っているのではないかというくらいの実績と安心感があるメーカーです。
そんなYAMAHAでも、プロ御用達のモデルやプロ監修によるモデル、スタンダードモデル、エントリーモデルとラインナップは様々です。
YAMAHA XENO(ゼノ)シリーズはYAMAHAのフラッグシップモデル。各アーティストとのコラボモデルを始め、YAMAHAの技術が惜しみなく使われています。価格は定価で約300,000円~します。
一方でスタンダードモデルと呼ばれるモデルは定価で70,000円台~となっています。
実際の市場では価格はもっと落ち着いていますので、スタンダードモデルであれば少し頑張れば手が届く価格帯ではあります。高価なことに変わりはありませんが、スタンダードモデルといっても品質は折り紙付きです。
Vincent Bach(ヴィンセント・バック)のトランペット
高校の吹奏楽部でトランペットを吹いたことがあれば聞いたことがあるであろうBachのトランペット。トランペット未経験者にはあまり聞きなれないメーカーかもしれませんが、YAMAHAに次ぐシェアを持つトランペットの大手メーカーです。
Stradivarius 180シリーズは、VincentBachにおけるスタンダードモデルですが、Bachの技術が惜しみなく使われており、スタンダードモデルでありながらプロフェッショナルモデルとしての代表的なシリーズです。価格は定価で約350,000~。
TRシリーズは、初心者におすすめのモデル。吹きやすく扱いやすいデザインと、コストパフォーマンスに優れたモデルです。価格は約70,000円~。
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高いよねトランペット。なかなか手が出せない・・・
「トランペットは値段が高い」。それは確かにそうです。しかし、中には安価でも品質はそこそこのトランペットもあります。
「よし!トランペットをやろう!ヤマハのゼノってのがいいんだな!そりゃ20万円ポーン!!」とできる人ならばそれでもいいかもしれません。
でも、あなたは趣味としてのトランペットを「始めたとしても飽きずに一生付き合えますか?」と聞いておきます。吹いてみて、「思ったより難しいや、やーめた」となるか、「おお!楽しい!」と続けるかは人それぞれです。だったら、
最初は安価なトランペットでもいいのではないでしょうか?というのが私の持論です。
ハマるかもわからない趣味に20万円以上軽く出せる人はそんなにいないと思いますし、なにより、飽きられたら「1本1本手作りのトランペットがかわいそう」です。売りに出したりもできますけど。
私がトランペットを始めた頃、安価なトランペットと言えばプラスチックでできたおもちゃのような粗悪品しかありませんでした。でも今は2020年。「トランペット初心者用」と探せば、それなりのトランペットと出会えます。しかも色々オマケもついてきます。
値段が高いと何が違う?安物はやっぱりダメ?
管楽器を吹くことに崇高なイメージを持っている方には申し訳ありませんが、私は「趣味としてトランペットを吹く」ということにハードルを感じてほしくないのです。だから、最初は手の届く範囲のトランペットでも十分なのではないかと考えます。
なんなら、自分に合ったマウスピースを見つけることのほうがよっぽど重要です。マウスピースは私が使っているモデルでも1万円台です。自分に合ったマウスピースと、手ごろな価格のトランペットで「トランペットの楽しさ」に気づいてもらえれば、ゼノやら180シリーズはそれから考えればいい話だと思います。
高いトランペットの何が違うかと言われれば、「音の良さ」「はずれの無さ」「堅牢性」などが挙げられると思います。
音の良さは言わずもがなです。しかし、よくあるTV番組で、「1億円のヴァイオリン」と「10,000円のヴァイオリン」の音の区別がつかない人、たくさんいますよね。それと似たようなものです。
プロが吹く5万円のトランペットと、素人が吹く30万円のトランペットでは、プロのほうに間違いなく軍配が上がります。だから初心者に関しては音の良し悪しに関して考えることは不要です。
トランペットに慣れてくると、「この音は自分ではこう出す」という感覚が備わってきます。すると、粗悪な楽器では、もともとの造りが完全ではないため、音程や音色が思い通りにならないことがあります。これも初心者なので無視しましょう。感覚は吹きながら養うものです。
堅牢性は、一流メーカーは確かに造りが丈夫です。保証もしっかりしています。かといって、最近の安価なトランペットがすぐに壊れるということも聞いたことがないので、これも大丈夫です。
結論:初心者は安物でも気にせず、まず吹いてみよう。
吹けるようにならないことには、物の良し悪しもわかりませんからね。
トランペットを始めるために必要なもの
必ず必要なもの
トランペット本体およびマウスピース・・・言わずもがなです。
高確率で必要になるもの
- トランペットを吹く「場所」・・・これは考えなければいけません。トランペットはかなり音が「でかい」です。上手い人だとしても近所からしたら騒音レベルです。これを解消する方法はいくつかありますので、後述します。
- ツバ(水滴)を吸うタオル、新聞紙など・・・トランペットは唇を振動させて音を出しますので、管の中に水滴が溜まります。それを「ウォーターキィ」という場所から抜きますが、結構な量が何回も出ます。それの処理方法が必要です。
- 各種お手入れグッズ・・・バルブや抜き差し管は、手入れを怠るとすぐに固着して動かなくなります。楽器の使用前と使用後にはオイルを差して手入れをする必要がありますので、楽器を買う場合は一緒に揃えましょう。楽器を吹くクロス(布)や、楽器内部を洗うブラシなどもあるといいです。
あると便利なもの
- 各種教本・・・トランペットの練習用テキストみたいなものです。毎日やるべき練習から、応用編、最後には簡単な曲まで載っているものもあります。
- 楽譜・・・ポップスや定番の曲がトランペット1本で演奏できるようにまとめられた楽譜があります。知っている曲や好きな曲を見つけて練習すれば、上達も早くなります。
- 譜面台・・・楽譜や教本を載せるスタンドです。トランペットは姿勢がかなり重要なので、座って本を見ながら吹く、というのはあまりお勧めできません。ですので、立ったままや椅子に座ったまま楽譜を見れるようにする譜面台があると便利です。
トランペットを吹く場所に困っています
トランペットは音がデカいです。さらに、音の出し方もわからないまま全力で吹くと、大変なことになります。
ですので、周りを気にせずトランペットを吹ける環境についてお伝えします。選択肢はいくつかありますので、自分に合った方法を見つけてください。
人がいない場所で吹く(山、海、河川敷)
一番簡単で、おすすめです。人の迷惑になりそうなら、人がいないところに行けばいいのです。そして、この方法の1番のメリットは、「1番自然な状態で吹ける」ということです。音量を気にせず、屋外ならば立った姿勢で、楽器を存分に鳴らすことができます。都会に住んでいる方にはハードルが高いかもしれません。
サイレント・ブラス・システム
YAMAHAから発売されている「サイレントブラスシステム」。トランペットのベルの部分に器具を差し込み、その器具からイヤホンをつなぎ、自分の耳に音が届くようにするシステムです。器具を付けることにより、楽器からはほとんど音が出ません。人間の話し声よりも静かです。
難点は、吹いた感覚が「サイレントブラスを付けていない状態と違う」ことです。サイレントブラスが発売されてから、アップデートを重ね、吹奏感はかなり向上しています。しかし、やはり吹いた時の抵抗感や、実際とは違った音が自分の耳に届くという点では、生音との壁はまだあると感じます。
それでも、自宅でしかトランペットを練習できない、という人にとってはかなり画期的なアイテムです。私も持っています。
カラオケにいく
結構奥の手です。
私も何度かやったことがあります。トランペットのケースを背負い、カラオケに行きます。そしてカウンターの店員さんに、「トランペット練習したいです」と伝えます。私は断られたことはありませんが、NGな場合もあるようです。
トランペットに疲れたら一人カラオケにもなりますし、練習した曲をトランペットのキーに合わせて吹くこともできます。
トランペットはやはりハードルが高い?
この記事を読んで、トランペットを始めるハードルは高いと感じたでしょうか?
少し高いとは感じるかもしれません。しかし、「ちょっとやってみよう」と思い立って始めるには、かなりハードルは下がっています。その理由として
- 安価でも比較的高品質な楽器が手に入る
- メディアの発達により、上手い人の演奏を「動画」で見れる
- さまざまなプロの演奏が聴ける
- youtubeで「動画の」レクチャーが見られる
この点は、ここ10年くらいで一気に変わりました。私たちが学生の頃は、先輩から習い、高い教本を買い、高いCDを買い、模索しながらの練習でした。
しかし現在は、youtube1つだけで、プロの演奏が聴けて、レッスン動画が見れて、いろいろなジャンルの奏者を「目で見る」ことができます。
「視覚的に学べる」というのは楽器において非常に大きな要素だと思います。なにせ、以前まではお金を払ってレッスンを受けなければ、上手な人の吹き方を目の前で見ることはできなかったんですから。
さらに、昔よりも安価にそこそこの品質の楽器が手に入るようになりました。
結論:トランペットの本質は変わらないが、上達するルートは格段に増えている。
まとめ
トランペットを始めたい方向けの「超初歩的」な解説でした。
まだ楽器を手にするところまで至っておりませんが、順を追って記事にしていきたいと考えています。
それでは今日のまとめです。
- トランペットは金管楽器
- トランペットは唇の振動で音を出す
- 唇の振動とバルブの組み合わせで音が変わる
- マウスピースは自分に合ったものを選びたい
- 楽器の値段はピンキリ。だけど最近では安くても品質が安定してきている
- 楽器を吹く場所は少し困る。カラオケや専用の器具を使うと楽
- 昔よりも、トランペットを始めるハードルはグッと下がった